おジャ魔女どれみNEXT
第2話「どれみの想い」
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「FLAT4って知ってるかい…昔、福井でイキに暴れまわっていたっていうぜ。いまも世ン中あれほうだい。ボヤボヤしているとうしろからバッサリだ。どっちも!どっちも!どっちもどっちも!」
「フジオのF!」
「レオンのL!」
「暁のA!」
「トオルのT!」
 美少年が一人ずつポーズを取っていく。そして声をそろえて。
「我ら、武生中を全国に導いた、最強助っ人4人組!FLAT4!!」
「暁君〜」
 嬉しそうに言うどれみに対し、まりなとかよこはどう反応して良いか悩んでいる。
「決ったね…それにしても暁君、最初のナレーションは何なんだい」
 トオルが質問する。
「昔のアニメのオープニングナレーションさ。DVDを買って見ているのさ。面白いよ」
「おいおい」
 暁の言葉にレオンは呆れる。
「でも、どうして暁君たちここにいるの?」
 どれみの質問に暁は自信満々に答える。
「言ったよね、男を磨いて来るって。それを見てもらいに来たよ」
「暁君、開会式が始まるよ」
 フジオにそう呼ばれて、暁はどれみに手を振りながら会場に入って行った。

 スタンドで、暑い中、学ランを着た3人組が必死に美空中の応援をしている。
「美空チューチューチューペットォ〜」
「サッカー部ーぶーブーメラン」
「帰ってきたら日本一イチ…イチロー〜」
 3人組はクネクネしながら脱力物の応援をしている。そこにおでこをキラリと光らせた元気そうな少女が後から声をかけた。
「新SOS、相変らずさっぶいなぁ〜」
 新SOSトリオ、美空小出身の名物お笑いコンビ。佐川のS、太田のO、佐藤のSと言えば美空小出身なら知らない者は居ないと言える。3人はその声に振り向いて、叫んだ。
「姐御ぉ〜!」
「…それは、やめーちゅーに」
 新SOSのすがるこの少女は妹尾あいこ。小学校卒業後、復縁した両親と大阪で暮らしている。
「あいちゃん、ごめんね。呼び出したりして…」
 遅れてやって来たはづきがあいこに済まなさそうに言う。
「電話でだいたいの事情は分ったけど…そんなに心配する事はないんとちゃうの?」
「だと良いんだけどね」
 そこに瀬川おんぷも姿を現した。
「おんぷちゃん、帰って来てたんだ」
 はづきの問いに頷いて、さらに何かあるような笑みをおんぷは見せた。
「何やら、懐かしい顔が揃ってますね」
「夏だけに“なつ”かしい〜」
「そんな事、“なつ”とくできるかぁ〜」
“バシッ!!”
 ちょっとイケメンの少年小倉がヤンチャそうなボケた少年杉山をどついた。これが通称トヨちゃんケンちゃんのどつき漫才だった。場の空気がさらに寒くなった。しかし。
「アヒャヒャヒャヒャ…」
 特徴的な笑い声が響いた。はづきとあいこはまさかと思って振り返った。そこにはリング状の髪を後に二つつけた少女、飛鳥ももこが来ていた。
「アヒャヒャ…ひヒャしぶり〜」
 ももこはまだ笑っていた。

 当日発表された組み合わせによると、武生中と美空中は順調に勝ち抜けば2回戦で対戦する事になる。
「小竹君、決着をつける時が来たね!」
 拳を握り締める暁に大人しそうな少年フジオがメモ帳を捲りながら言う。
「でも、暁君、僕の調査では小竹君はレギュラーじゃないんだけど…」
「なんだってぇ!」
 と言って、暁は開会式が終るとどこかに走って行った。

 美空中は一回戦の準備をしていた。そこに暁が乱入してくる。大河内先輩の柔軟体操の手伝いをしていた小竹は暁の顔を見て叫んだ。
「お前、暁ィ〜」
「僕は、あの時の決着をつけに来たのに、君は…なんだそのざまは!」
 あの時とは小学6年の修学旅行での戦いの事だ。小竹は呆れて暁を見る。
「ウチのサッカー部は結構大きいんだ。一年でレギュラーは無理だよ。それに試合に出るだけが戦いじゃない!」
「なるほど…ならば、こちらもそのつもりで戦う。僕が勝った時はどれみちゃんをもらう!」
 暁は宣言した。
「だったら負けられないなぁ〜」
 体を伸ばしていた大河内が顔をあげて呟いた。
「暁君、先輩、私の為に争わないでっ!」
 そこにサッカー部のマネージャーの手伝いをしていたどれみが叫びながらやって来た。
「…先輩?、どれみちゃん、それはどういう事だい」
 暁は信じられないように小竹とどれみを交互に見つめる。そして理解したように言う。
「そう言う事なのか…、でも、僕の気持ちは変わらない。勝負を楽しみしているよ」
 と言いながら暁は去って行った。

 FLAT4を有する武生中は楽勝で一回戦を突破した。マネージャーフジオの徹底した相手校の調査と分析、そして作戦立案。それをオールラウンダーの暁、テクニックのレオン、そしてアクロバッティクプレーのトオルが完全実行するというパターンだった。
 その活躍をスタンドから見ていたはづき達がFLAT4の元にやって来た。
「なんであんた達がいるのよ…話をややこしくしてっ」
 おんぷのキツイ言葉がいきなり飛んだ。
「おんぷちゃん、それは君の照れ隠しと取っておくよ〜」
 ナルシストトオルがくるりとダンスしておんぷに挨拶した。
「あいちゃんっ!久しぶりだね。何処のチームに所属しているんだい?ミィーと当たるまで負けないでくれよぉ!」
 あいこをライバル視するレオンがあいこに言うが、ツッコミが帰ってくる。
「私はでぇーへんわ!」